2-5.報酬
さて、そんな悶々とした夜を過ごした私。(先達さんもねせずに申し訳ない)
明け方は集中して寝たようです。意外とすっきり起きました。
考えても詮無きことはやめて、もう寝るしかないのです。
3日目は、那覇から南東の南城市へ。
最初は、垣花樋川(かきのはなひーじゃ)へ行きます。今日は雨。
なかよし号では、やっぱりOさんの隣です。仕方ない。
Oさんは何度となく「昨日は、、」と言ってくださるのですが、
それを言われたところで、私の傷がいえるわけでもなく、「ああ」としか言いようがありません。
「もういいですから」といえば、「もうちゃらよね、なしよね」と思われるのも心外な気がして、お茶を濁す感じに。
物静かに過ごします。
外は雨だしね。あんにゅい。
垣花樋川には、車から出て田舎な山道を歩いてあがっていきます。
久しぶりにこんな山の中に来たなぁって感じ。
昨日の浜比嘉島とはまた違う感じです。
なめくじが至る所にいるわけですが、でかくて、しかも丸くない。
尖った巻貝なんです。
不思議~。
いやいや、自分はこれが普通って、って彼らは思ってるんだろうけど。
ここは楽しい。
いろんな花や植物、小動物がいて、心が弾む。
一番上が女の人の川。
中くらいが男の人の川。
その下は昔は馬も洗ったりしたらしい。誰でも入れる場。
何を祈ったのか、忘れてしまいました。
朝までのわだかまりは、この自然にふれてすうっと消えていました。
おそらく、「素直な私でいれますように。素直な私を出せますように」というようなことではなかったかと思います。
その後はひたすら水と戯れました。
Y氏にあげてもらいました。自力じゃ登れなかった。嬉しい。ありがとうございました!
気持ちよかった。
普通だったら風邪ひくのにね。
水が湧き出ているところに立って、足の下からぶくぶく湧いてくるのを確かめました。
生きてるって素敵です。こういう感覚が味わえる。
でも、なんで水がぶくぶくするのを足の裏で感じるのが嬉しくて楽しいんだろう?
こんなに水と戯れるのって、なんでこんなに楽しいんだろう?
こういう感覚を味わえたのは、この旅からの報酬。旅からの神からの沖縄からのギフトだったのでしょう。
この感覚は真実のもの。それを体感出来たのはありがたく幸せなことでした。
さて、最後は、斎場御嶽(せーふぁうたき)。
最大の御嶽だそうです。世界遺産となったため、観光客が大挙し、おかげで整備もされてはきたのですが、本来の祈りの意味とはちょっと違うように妙に持ち上げたような、手の届かないあらたかすぎるもののように扱われているよう。
ここにもっと自分の思いを持って祈りに来る人は、ちょっと違和感があるのかもしれません。
実際、海外からのツアー客がとても多かった。
女が祈り、男がそれを支え、必ず形にしていく、琉球人が理想としていた祈りとまつりごとの形。
それは本土でもそうあるといいと私は思っているけど、嘘にやられてしまうのよね。信じてもらえない女の哀しさ、、と思っていると、ここでは「物見であればその無念さだけを持って帰るでしょう。祈りであればその希望を持って帰るでしょう。」と言われてしまう。物見ではないけれど、その無念さに気持ちをフォーカスしては、そっちにとりこまれてしまう。沖縄の私にとっての危うさは、そういうところにある。
でも、本心でそこに立ち向かうのであれば、哀しみも本心なので、その素直な思いを吐かせてもらう。
須佐さんに何か言われて、私の中の何かが反応し、またわーっと涙があふれることになってしまった。
「納得ができません」と私は言った。
「納得するというのは、ジャッジしていること」と須佐さんが言う。「納得しなくても、なくならなくてもいいんだよ」と。
まあそうかもしれない。でも、ジャッジしているから納得することをやめなくてはいけないのか?というのは、私にはそれこそ納得できないことだった。
納得したいというのは、腑に落としたい、それから次に進みたいということだ。
気持ちに決着をつけずに(決着をつけるつけないにこだわらず)進みなさいということなのかもしれないが、
そういう風にしてきた結果がこれなのだ。
だから、ひとつひとつを、自分の中で消化してから、しながら進みたいわけで。
その辺がぐちゃぐちゃして、なんか置いてけぼりな自分の気持ちがかわいそすぎて、いっぱい泣いた。
すごく孤独感を感じるし、どうすればいいのよってやっぱり思う。
あんまり整理ができず、育子さんにフォローしてもらう。
が、あまり受け取れていない。
いっぱいありすぎて、受け止める余裕が心の中にない。
心の筋肉をつけなきゃいけないんだろうな。
なかよし号でご一緒しているT夫妻が何かと気掛けてくれて、すごくありがたかった。
からだが冷えてきた。みんなはマンゴーのお店で冷たいものを食べてたけど、
「あったかいぜんざいないですか?」と聞いてみる。
冷たいぜんざいはあると、メニューにあったから。
冷たいぜんざいをあっためるのでいいなら、ということで、ホットをだしてくれた。
ついでに「クリームを載せてもらえませんか?」と言ってみる。
載せてもらえた!
言ってみるもんだ。
素直な私は、ホットぜんざいクリーム乗せをゲットした!
下のお土産物屋さんで、目をつけていたハイビスカスシーサーちゃんを買う。
ここから知念城跡を経由して、カフェくるくまに。
ここがみんなが来たがっているというところか。
駐車場には車がいっぱい。お店の中もいっぱいで手前のお土産物屋さんで待つことに。
いままでほとんどお土産物屋さんで物色する余裕はなかったので、
家族へのお土産の食材、母への貝のおきものを買う。
タイ料理はおいしかった。
結局、3グループに分かれて座ったので、振り返りみたいなものはなく。
まあなくてよかった。あったら、みんなの前ではなんていえばいいか、わからなかったから。
それでも、ここに時間をかけてくる意味は、正直なところわからなかった。
そういうことを今さら言う私はひねくれているのだろうか?
ちょっと客観的に考えただけなんだけど。
ご飯を食べて空港に向かう。
渋滞もあり、結果的に約束の16時半までには着かなかった。
やっぱり時間の約束はできない。
友人との約束は、止めて正解だったと思う。
時間が空いたから今着てっていうわけにいかないもの。
トイレに行ったり、荷物を詰め替えたり、そういう時間も必要。
お土産も少し時間をかけて選びたかったが、時間的な感覚がわからなかったので、早めに切り上げた。
LCC用のターミナルに行くバスの時間もわからなかったので、早めに動いた。
結果、向こうで少し長いステイになったが、仕方ない。
受付して、荷物預けて、中に入り、オリオンビールを飲んでふ―っと一息ついた。
はあ、終わった。
ビールが飲めるようになってよかった。
といっても、ビールを飲むのは、沖縄でだけ、オリオンだけだけど。
嫌なことばかりでもなかった沖縄。
でも嫌なことで終わったので、正直「楽しかった」とは言いづらい。
さて、どういう落とし前をつけるかなーと思いながら、ぼーっとオリオンを飲んで、搭乗を待った。